OTAKU SONG

「白鳥は生涯鳴かないが死ぬ間際に美しい歌を歌う」

というような伝承がヨーロッパだかにあってこれをswan songと言うのだとか――。

 

 

比較するにはあんまりにもあんまりだがオタクにも死ぬ間際に発する声があって、これを「はてなブログ」という。

多分あらゆることにはいつか飽きが来て、これを打破するためには新鮮な刺激が必要になるのだろう。

新鮮な刺激に必要なのは真新しい作品ではなく変化を受信できる自身のアンテナなのだけれど、これも恐らくはいつか錆びていく。

飽きが蔓延したり、変化を受信できなくなったりするとオタクは死ぬ。

そして死ぬ前にはてなブログで鳴く。

「私が○○についていけなくなった理由」と。

 

 

村上春樹の「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」の世界の終り編の主人公は夢読みという役割につくことになる。

壁で覆われた閉塞した街で、冬に死んでいく一角獣の頭骨から古い夢を読み解く仕事だ。

あなたが夢読みで、ここが頭骨だ。

僕もいつか死ぬだろう。でもその前に歌を歌うだろう。

そのための場所を今のうちに用意しておこうと思う。

 

 

最後に。

実際のところ(当たり前だけど)白鳥の断末魔は決して綺麗なものではないという話だ。

オタクもそうで、本当に死ぬオタクは言葉なんか残さない。

誰にも言わずいつの間にかいなくなる。

できるならはてなブログで歌が歌えるような最期だと嬉しい。